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Cookieレス時代とは?マーケティングへの影響と対策を解説
- 目次
Safariをはじめとする、主要ブラウザのサードパーティCookie規制や、Cookieの取得・利用に関する日本を含めた各国の法規制が進み、いよいよCookieレスの時代が到来すると言われています。
サードパーティCookieが使用できなくなることで、デジタルマーケティングにもさまざまな影響が出るでしょう。
この記事では、Cookieレスとは何なのか解説するとともに、Web広告やデジタルマーケティングへの影響、具体的な対策方法まで紹介します。
■この記事でわかること
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Cookieレスとは?
Cookie(クッキー)レスとは、ユーザーがWebサイトを訪れた際の、Cookieによる情報の取得を規制する動きのことを指す言葉です。
「ポストCookie」や「アフターCookie」などとも呼ばれ、Cookieの廃止に向かって進む社会や、Cookieを使用しない状況を表すワードとして用いられています。
近年は、個人情報の保護を目的として、世界各国の法律、主要ブラウザそれぞれでCookie規制の動きが進んでいます。
Cookieレスの流れが加速している背景
Cookieレスが加速している大きな要因として、プライバシーの問題が挙げられます。
サードパーティCookieを利用すると、Webサイトを訪問したユーザーから個人情報を取得し、行動履歴などの計測が可能になります。
しかし、Webサイトを離れてからもユーザーを追跡できてしまう性質が、近年はプライバシーの侵害だと懸念されるようになりました。
あるサイトでチェックしたサービスや商品が、別のサイトでも広告によって表示されるリターゲティング広告のように、サイトをまたいでトラッキングされることに不快感を示す人も増えています。
現在進んでいるCookieレスの具体的な動き
現在、サードパーティCookieは、国内での改正個人情報保護法や、欧州のGDPR、米国カリフォルニア州のCCPAなどの法令によって規制されています。
また、主要ブラウザでも、廃止や規制が発表されるなど、それぞれの動きが進んでいます。
ブラウザ規制
ブラウザ規制の代表例として、Apple社が提供するウェブブラウザSafariでは、2017年からトラッキング防止機能「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」を導入しており、現在はサードパーティCookieの全面廃止がデフォルトとなっている状況です。
また、ブラウザシェア率トップのGoogleでは、現状Cookieに関する具体的な規制はありませんが、2024年第1四半期に、Chrome ユーザーの1% に対してサードパーティ Cookieを廃止する予定と発表しています。
参考:プライバシー サンドボックスのテストと実装に向けた広告技術プロバイダの取り組み|Google広告
MicrosoftのEdgeもGoogleが開発したエンジンを使用しているため、Chromeに追随するかたちでCookie規制が進められる可能性が高いでしょう。
日本を含む世界各国の法整備
日本を含む世界各国では、Cookieに関する法規制が以下のように進められています。
【Cookieに関する法規制の例】
個人情報保護法(日本) |
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GDPR(欧州) |
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CCPA(アメリカ・カリフォルニア州) |
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日本では、2022年に改正個人情報保護法が施行されており、Cookieの取得自体に際して本人の同意は必要ないものの、Cookieを第三者に提供し個人情報に紐づける場合には、本人の同意が義務付けられています。
また欧州や米国の各地域でもCookie規制が勧められているため、これらの国に拠点を置く企業は、適宜対応が求められます。
関連記事:Cookieポリシーは必要?作成が必要なケースや作成時のポイントを解説
関連記事:Cookie規制とは?いつから法規制が施行されているのか・対策について解説
CookieレスによるWebマーケティングへの影響
Cookieレスによって、今まで問題視されていたユーザーのプライバシーは守られるようになるでしょう。
一方で、Webマーケティングには以下のような影響があると考えられています。
- データをもとにした施策改善が難しくなる
- 広告の精度が低下する
- Web広告市場の独占
それぞれ見ていきましょう。
データをもとにした施策改善が難しくなる
Cookieレスによりユーザーを識別することができなくなると、今までのようにサイト上でのユーザーの行動を把握することもできなくなるでしょう。
そのため、ユーザーの行動を分析して行っていたサイト改善や、施策の設計が難しくなることが予想されます。
企業の内部でビッグデータを保有する大手企業であれば、内部データを活用したり、ほかの方法でユーザーの顧客行動を分析したりすることが可能かもしれません。
しかし、サードパーティCookieを主力にユーザーの情報を取得している企業では、顧客行動を分析する別の手段を見つけなければならないでしょう。
広告の精度が低下する
Cookieレスになると、Webサイトを訪れたユーザーの動きが追跡できないため、リターゲティング広告をはじめとする広告の精度が低下することが懸念されています。
リターゲティング広告は、一度Webサイトに訪れたユーザーを追跡して広告が配信でき、ユーザーの興味関心に対してダイレクトに広告をあてられるため、費用対効果が高いのが特徴です。
ただし、サイトをまたいで追跡する仕組み上、サードパーティCookieを利用するため、Cookieが使用できなくなった場合はリターゲティング以外の広告運用が必要となるでしょう。
Web広告市場の独占
Cookieレスの流れを受け、Cookieに代わるシステムが生まれることで、Web広告市場の独占も懸念されています。
Googleでは、サードパーティCookieに代わる「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」を開発していましたが、ユーザーを特定できてしまう仕組みや、Web広告がGoogleに依存してしまう恐れから、独占禁止法に違反する疑いがあると指摘されました。
個人の情報が貴重な時代になると、多大なデータを保有するGAFAのような巨大なプラットフォームの優位性がますます高まっていくでしょう。
Cookieレス時代に対応するには?
Cookieレス時代が訪れると、サードパーティCookieを使用する従来のマーケティングは通用しなくなるため、新しいやり方が必要になります。
以下、Cookieレス時代に対応する具体的な方法を紹介します。
ファーストパーティCookieデータの活用
ファーストパーティCookieは、ユーザーが訪れたサイトのドメインから発行されるCookieのことで、Cookie規制の影響を受けにくいのが特徴です。
ユーザーの意思と関係なく発行されるサードパーティCookieとは異なり、ブラウザやユーザーからブロックされる可能性も低くなっています。
また、ファーストパーティCookieは、自社ドメイン単位で取得するので情報の信頼性が高く、ユーザーが許可する範囲での自由な活用が許されています。
広告配信のプラットフォームと組み合わせることで、これまでのようにユーザーの行動を計測することも可能です。
関連記事:ファーストパーティCookieとは?サードパーティとの違いや活用メリット・注意点を解説
コンテキスト広告の活用
コンテキスト広告は、扱う商品やサービスに合致する配信面や記事に対して、広告枠をターゲティングする手法です。
特定の個人を追跡するのではなく、ユーザーの関心に合わせて必要とされる場面に広告を配信するので、不快感を持たれにくく、ブランドイメージを守りながら取り組めるのが特徴です。
むやみに表示される広告より、必要なシチュエーションでユーザーに届く広告の方がより成果が見込めます。
訴求やコンテンツに合致した配信面をターゲティングできますが、ユーザーのニーズ(顕在ニーズ、潜在ニーズ)まではわからないため、これまで以上にクリエイティブや訴求軸を意識する必要があるでしょう。
Cookieを利用しないデータ取得方法を検討する
Cookieレス時代に向けて、Cookieを活用せずにデータを取得する方法が注目されています。
Cookieに頼らない情報収集は、得たい情報に合わせて自社に適した方法で行いましょう。
オウンドメディアを強化する
企業が自社で保有するオウンドメディアを強化することで、Cookieに頼らずとも集客や情報収集が行えます。
例えば、会員登録が必要なサイトやコンテンツを設ければ、ユーザー属性や興味を持っているコンテンツなどの情報を集めることが可能になるでしょう。
内容が濃く、ユーザーの役に立つコンテンツを配信することによって拡散されやすくなり、リードの獲得や売上の増加にも期待できます。
ただし、コンテンツの作成や状況に応じたブラッシュアップが必要になるため、SEO(検索エンジン最適化)のような専門的な知識や長期的な運用が求められるでしょう。
SNSアカウントを強化する
SNSアカウントを効果的に活用すれば、Cookieレス時代においてもユーザーの興味関心を深く把握することができるでしょう。
SNSには、アカウントのフォロワー属性、投稿に対するいいね数など、どんなユーザーがどんなコンテンツに反応するかといった、マーケティングの参考となる情報があふれています。
SNSアカウントは無料ですぐに作れるため、コストを抑えて運用することが可能ですが、コンテンツ作成やフォロワー数を伸ばすまでの期間などを踏まえ、成果をあげるまでにはある程度の労力や費用が必要です。
また、自社のユーザーに適したプラットフォームを選択することも重要です。
「どこどこJP」を活用する
どこどこJPは、CookieではなくIPアドレスからユーザーの地域、組織、回線といった情報を取得できるAPIツールです。
IPアドレスから特定できる情報を基に、サードパーティデータを使用したときと同じようにサイトの最適化が可能です。
【どこどこJPの活用例】
取得データ | 活用例 |
地域情報 | サイト上のエリア情報を最適化(ジオターゲティング) |
組織情報 | サイト上の事例をアクセス元の企業の業種に合わせて最適化(業種ターゲティング) |
組織情報の取得・分析などから、サイトのポテンシャルの把握や正確なメディアパワーの計測、新たな広告メニューの開発にも役立ちます。
Googleアナリティクスとの連携も可能で、どの企業からどのページにアクセスがあり、どのサービスに興味があるのかを把握できるため、より効果的なBtoBマーケティングを実現できます。
Cookieレスの必要性と対応方法まとめ
Cookieレスの時代が訪れることで、従来の広告施策やサイト分析の効果が下がり、デジタルマーケティングに大きな影響を与えることが懸念されています。
Cookieレスが進めば、今後はよりCookieに頼らないマーケティング手法が求められるでしょう。
どこどこJPは、IPアドレスに基づいたデータ収集を行うため、Cookie規制の影響を受けません。
また、取得した情報によって、ユーザーがサイトにアクセスしたときのコンテンツの出し分けが可能になり、ユーザーの状況に配慮したゼロパーティデータの取得や、コンバージョンまでのアプローチにも役立ちます。
急速に進むCookieレスへの対応策に、ぜひどこどこJPをご活用ください。