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著作権・放映権を守るオンライン配信制御~日本国外からのアクセスを制御~
インターネットを通じて、日本国外のWebサイトを閲覧することは珍しくありません。ライブストリーミングサービスの普及によって、地理的な制約にとらわれずにリアルタイムの映像を楽しむことができるようになりました。一方、「世界のどこからでもアクセスできる」というインターネットの特徴が、思わぬ制限を生むこともあります。
その好例が、「放映権」で守られた映画やドラマ、オリンピックを含むスポーツイベントなどの映像コンテンツです。
放映権は国ごとに別々の組織が取得し、放映できる地域は各国内に限られます。配信地域を限定できるテレビ放送ならば問題ありませんが、放映可能地域外からもアクセスできてしまうインターネット上で配信を行うためには、アクセスを日本国内に限定する必要があります。
そこで、国内外いずれからのアクセスなのかをIPアドレスにより判別し、国内からのアクセスだけに配信を許可するアクセス制御技術が活躍しています。改ざんや隠匿の難しいIPアドレスをベースにした位置情報であれば、制限を回避されにくいと考えられます。
IP Geolocation技術によるオンライン配信制御は、これらの映像コンテンツをインターネット上で楽しむために大きな役割を果たしています。
オリンピックの放映権を守るIP Geolocationのアクセス制御
2014年冬季ソチオリンピック以降、 国内の民間放送テレビ局によるオリンピック動画配信サイト「gorin.jp」で競技のハイライト動画やライブストリーミング配信が行われました。しかし、オリンピックをインターネット上の動画配信サービスで楽しめるようになったのは、つい最近の事。
というのも、オリンピックのインターネット放送は、2000年のシドニーオリンピックまで、IOC(国際オリンピック)によって謹慎されていたのです。2002年のソルトレークオリンピックで試験的なインターネット放送が行われ、2004年のアテネオリンピックでは、多数のサイトがストリーミング配信を行いました。
これを可能にしたのは、IP Geolcoation(ジオロケーション)によるアクセス地域の制御です。先ほど挙げた「gorin.jp」は、日本国外のアクセスユーザに対して動画を配信しないよう、IPアドレスをベースとしたアクセス制御を行っています。
図:IPアドレスから判定した国情報をアクセス制御に利用
オンラインでのコンテンツ配信を支えるIP Geolocation技術
オリンピック以外でも、放映権の遵守を目的にIP Geolocation(ジオロケーション)が活用されています。
- メジャーリーグ
- サッカーのワールドカップ
- 欧州サッカーリーグ
こういった全世界的に注目を集めるスポーツイベントでもアクセス制御が欠かせません。
また、キャラクターなどの版権も、国や地域単位で認可されることが多く、認可外の地域からのアクセスを制御することで、著作権や版権を守る場合があります。
また、最近では権利を所有する側から、インターネット上で配信を行う場合、IPアドレスからの国内外判定だけでなく、アクセス元のIPアドレス自体がProxyやVPNなどで所在を偽っていたり、明らかにしていない場合にも制限するように求められることも少なくありません。その場合は、国の情報だけでなく、そのIPアドレスが匿名性が高いIPアドレスかを示す情報(匿名ネットワーク属性)を参照することで、対応ができます。
匿名ネットワークデータについては以下を参照ください。
まとめ
- ライブストリーミングサービスの普及によって、地理的な制約にとらわれずにリアルタイムの映像を楽しむことができるようになった
- 「世界のどこからでもアクセスできる」ため、「放映権」で守られた映像コンテンツの制限が必要
- IP アドレスをベースにしたIP Geolocation技術によるオンライン配信制御で、著作権や版権を守っている
- さらに条件が厳しい場合は、匿名ネットワーク属性を利用する必要がある